Pre-season Screening
シーズン前メディカルチェックから、傷害リスクに関連する身体・機能指標を探索。
プロサッカーの現場で繰り返される肉離れを、メディカルチェック、傷害発生データ、血液指標、データ解析から捉え、予防につながるリスク評価へ発展させます。
傷害予防の第一歩は、発症前にリスクを把握することです。シーズン前の身体機能・メディカルチェックと、その後の傷害発生情報を結びつけ、従来統計とAI・機械学習の両面から予測因子を探索します。
また、血液バイオマーカーによる筋損傷評価を、現場で使える補助指標へつなげる研究も進めています。
シーズン前メディカルチェックから、傷害リスクに関連する身体・機能指標を探索。
シーズン中の肉離れ発生情報と、事前評価データを選手単位で統合。
微量採血によるミオグロビン等を用い、筋損傷の客観的評価を検討。
従来統計に加えAI・機械学習を用いて、説明可能な予測モデルの構築を目指す。
単一の検査値だけで予測するのではなく、受傷歴・遠心性筋力・組織特性・栄養・負荷・回復をシーズンを通して評価し、可変性のある因子へ介入します。
既往歴は重要なリスク情報。初回受傷を防ぐことと、再発予防の両方を重視します。
Nordic hamstringを含む遠心性筋力を評価し、弱点をトレーニングへ反映します。
筋スティフネス、筋束長、羽状角などを画像で評価し、組織特性の可視化を試みます。
定期採血で栄養、鉄代謝、ビタミンDなどを確認し、コンディショニングへつなげます。
走行距離、加速・減速、高強度走行などをモニタリングし、負荷を調整します。
主観的疲労と客観指標を組み合わせ、回復とトレーニングのバランスを継続的に見直します。
いわきFCで蓄積してきた測定・検診データから、予防につながる候補指標を探索しています。ここに示す一部は内部解析・予備的データであり、確定的なリスク閾値としてではなく、次の検証研究につなげる位置づけです。
フィールドデータでは、肉離れを発症した選手はいずれもNordic hamstringの絶対値337 N以下かつ体重補正4.35 N/kg以下でした。
Exploratory field observation2022シーズンのプレシーズン評価では、大腿二頭筋の高い筋スティフネスが肉離れ発生と関連し、26 kPaが探索的カットオフとして示されました。
Preseason ultrasound pilot同じプレシーズン評価で、羽状角の増大も肉離れ発生と関連し、15°が探索的カットオフとして示されました。
Preseason ultrasound pilot2022シーズンのプレシーズンに28選手・56脚を評価し、シーズン中のハムストリング症状発生との関係を前向きに追跡しました。筋スティフネスと羽状角は、発症リスクを考える候補指標として検討されています。
高い筋スティフネスを示す脚でハムストリング症状発生が多い傾向を認めました。
羽状角の増大も発症との関連を示し、組織構造を含むリスク評価の可能性を検討しています。
※これらは講演資料に示した単一チームの探索的解析です。一般化された診断基準・臨床閾値ではなく、今後の検証研究につなげる候補指標として位置づけています。
試合後の筋ダメージ評価では、血中ミオグロビンはCKより早期に変化し、特に加速・減速を含むGPS負荷指標との関連が強いことを示してきました。
さらに、肉離れ発生時のミオグロビン値を検討し、筋疲労と損傷を見分ける診断補助指標としての可能性を検証しています。
講演資料で紹介しているフィールド測定の実際と、試合後のCK・ミオグロビンの経時変化です。簡便な採血と迅速測定を、コンディショニング判断の補助情報へつなげます。



プレシーズンのメディカルチェックとシーズン中のハムストリング肉離れ発生情報を統合し、従来統計とAI・機械学習を用いて選手単位の傷害予測モデルを構築する研究を進めています。
身体機能・筋力・既往歴などの多面的データを収集。
シーズン中の肉離れ発生情報を選手単位で追跡。
複数の要因を統合し、傷害発生予測モデルを構築。
予測だけでなく、どの因子がリスクに寄与したかを可視化。
AIの目的は「当てる」ことではなく、修正可能なリスクを見つけ、個別化された予防介入につなげることです。
順天堂大学で「プロサッカー選手におけるハムストリング肉離れのリスク因子探索:5年間のシーズン前メディカルチェックデータを用いた後ろ向き研究」を実施中です。
リスク因子を見つけ、選手・メディカルスタッフが使えるスクリーニングと介入へつなげることを目指します。