← Research CenterINJURY PREVENTION / HAMSTRING

ハムストリング肉離れを、
「予測して防ぐ」研究へ。

プロサッカーの現場で繰り返される肉離れを、メディカルチェック、傷害発生データ、血液指標、データ解析から捉え、予防につながるリスク評価へ発展させます。

RESEARCH QUESTION

誰が、なぜ、肉離れを起こすのか。

傷害予防の第一歩は、発症前にリスクを把握することです。シーズン前の身体機能・メディカルチェックと、その後の傷害発生情報を結びつけ、従来統計とAI・機械学習の両面から予測因子を探索します。

また、血液バイオマーカーによる筋損傷評価を、現場で使える補助指標へつなげる研究も進めています。

01

Pre-season Screening

シーズン前メディカルチェックから、傷害リスクに関連する身体・機能指標を探索。

02

Injury Surveillance

シーズン中の肉離れ発生情報と、事前評価データを選手単位で統合。

03

Biomarker

微量採血によるミオグロビン等を用い、筋損傷の客観的評価を検討。

04

Prediction / AI

従来統計に加えAI・機械学習を用いて、説明可能な予測モデルの構築を目指す。

IWAKI FC PREVENTION FRAMEWORK

「受傷歴を作らない」ための、多層的な予防。

単一の検査値だけで予測するのではなく、受傷歴・遠心性筋力・組織特性・栄養・負荷・回復をシーズンを通して評価し、可変性のある因子へ介入します。

01

History

既往歴は重要なリスク情報。初回受傷を防ぐことと、再発予防の両方を重視します。

02

Eccentric Strength

Nordic hamstringを含む遠心性筋力を評価し、弱点をトレーニングへ反映します。

03

Tissue / Ultrasound

筋スティフネス、筋束長、羽状角などを画像で評価し、組織特性の可視化を試みます。

04

Biology / Nutrition

定期採血で栄養、鉄代謝、ビタミンDなどを確認し、コンディショニングへつなげます。

05

Workload / GPS

走行距離、加速・減速、高強度走行などをモニタリングし、負荷を調整します。

06

Recovery

主観的疲労と客観指標を組み合わせ、回復とトレーニングのバランスを継続的に見直します。

ASSESS→MONITOR→TRAIN→RECOVER→RE-ASSESS
FIELD DATA / PILOT OBSERVATIONS

現場データを、次の研究仮説へ。

いわきFCで蓄積してきた測定・検診データから、予防につながる候補指標を探索しています。ここに示す一部は内部解析・予備的データであり、確定的なリスク閾値としてではなく、次の検証研究につなげる位置づけです。

337 N

Nordic hamstring

フィールドデータでは、肉離れを発症した選手はいずれもNordic hamstringの絶対値337 N以下かつ体重補正4.35 N/kg以下でした。

Exploratory field observation
26 kPa

Muscle stiffness

2022シーズンのプレシーズン評価では、大腿二頭筋の高い筋スティフネスが肉離れ発生と関連し、26 kPaが探索的カットオフとして示されました。

Preseason ultrasound pilot
15°

Pennation angle

同じプレシーズン評価で、羽状角の増大も肉離れ発生と関連し、15°が探索的カットオフとして示されました。

Preseason ultrasound pilot
PRESEASON ULTRASOUND / FIELD STUDY

組織の“硬さ”と構造を、
発症前に見る。

2022シーズンのプレシーズンに28選手・56脚を評価し、シーズン中のハムストリング症状発生との関係を前向きに追跡しました。筋スティフネスと羽状角は、発症リスクを考える候補指標として検討されています。

MUSCLE STIFFNESS26 kPa

探索的カットオフ

AUC 0.86Sensitivity 87%Specificity 77%

高い筋スティフネスを示す脚でハムストリング症状発生が多い傾向を認めました。

PENNATION ANGLE15°

探索的カットオフ

AUC 0.82Sensitivity 87%Specificity 71%

羽状角の増大も発症との関連を示し、組織構造を含むリスク評価の可能性を検討しています。

※これらは講演資料に示した単一チームの探索的解析です。一般化された診断基準・臨床閾値ではなく、今後の検証研究につなげる候補指標として位置づけています。

MUSCLE DAMAGE BIOMARKER

ミオグロビンで、筋ダメージをより早く捉える。

試合後の筋ダメージ評価では、血中ミオグロビンはCKより早期に変化し、特に加速・減速を含むGPS負荷指標との関連が強いことを示してきました。

さらに、肉離れ発生時のミオグロビン値を検討し、筋疲労と損傷を見分ける診断補助指標としての可能性を検証しています。

FIELD BIOMARKER WORKFLOW

指尖採血から、
筋ダメージを可視化する。

講演資料で紹介しているフィールド測定の実際と、試合後のCK・ミオグロビンの経時変化です。簡便な採血と迅速測定を、コンディショニング判断の補助情報へつなげます。

指尖採血とミオグロビン迅速測定のワークフロー
指尖採血から迅速測定までの実際。講演資料より。
試合後CKの推移
CK:上昇が比較的長く続く。
試合後ミオグロビンの推移
Myoglobin:より早期の変化を捉える。
CURRENT RESEARCH / AI PREDICTION

“起きた怪我”を解析するだけでなく、
起きる前に予測する。

プレシーズンのメディカルチェックとシーズン中のハムストリング肉離れ発生情報を統合し、従来統計とAI・機械学習を用いて選手単位の傷害予測モデルを構築する研究を進めています。

01Preseason Medical Check

身体機能・筋力・既往歴などの多面的データを収集。

→
02Injury Surveillance

シーズン中の肉離れ発生情報を選手単位で追跡。

→
03AI / Machine Learning

複数の要因を統合し、傷害発生予測モデルを構築。

→
04Explainable AI

予測だけでなく、どの因子がリスクに寄与したかを可視化。

GOALRisk prediction → Individualized prevention

AIの目的は「当てる」ことではなく、修正可能なリスクを見つけ、個別化された予防介入につなげることです。

CURRENT STUDY

5年間のメディカルチェックデータを予防へ。

順天堂大学で「プロサッカー選手におけるハムストリング肉離れのリスク因子探索:5年間のシーズン前メディカルチェックデータを用いた後ろ向き研究」を実施中です。

GOAL

データを集めるだけでなく、
予防できる仕組みへ。

リスク因子を見つけ、選手・メディカルスタッフが使えるスクリーニングと介入へつなげることを目指します。